無在庫転売とドロップシッピングは、どちらも商品を販売する段階で在庫を手元に持たない点では共通しています。しかし、その本質は全く異なります。
特に、無在庫転売を行っている一部の発信者が「ドロップシッピングを教えている」とミスリーディングを誘発していることが多いため、本記事を通してその違いを明確に理解してください。
無在庫転売とは?

無在庫転売とは、まだ仕入れていない商品を先に販売し、注文が入った後に仕入れから発送まで行う手法です。例えば、タオバオやアリババ(1688)の商品を先にアマゾンで販売し、注文が入ってからアリババなどで買い付け、場合によっては直接お客様に発送するかたちになります。
この方法の問題点として、以下のリスクがあります。
- 品質管理ができない:仕入れ前の商品をそのまま発送するため、不良品や写真と異なる商品が届く可能性がある。
- 在庫管理ができない:アリババ1688の在庫情報は正確ではなく、注文後に在庫切れが発覚することがある。
- 発送の遅延:海外からの直送では配送時間が長くなり、お客様の満足度が低下する。
- クレーム対応が大変:品質や配送遅延に関するクレームが増え、アカウント停止のリスクが高まる。
ドロップシッピングとは?

ドロップシッピングは、事前に商社やメーカーと契約を交わし、在庫管理や品質管理をメーカー側に任せる手法です。販売者は小売業者というより、メーカーや商社代理の「営業マン」のような立場で、自身のウェブサイトやアマゾンなどで商品を販売し、注文が入るとメーカーや商社が直接お客様へ発送します。
この方法の特徴は以下の通りです。
- 在庫管理の心配がない:メーカーや商社が在庫を管理している。
- 品質管理が徹底されている:メーカー側で検品を行うため、クレームのリスクが低い。
- 発送の安定性:契約したメーカーが安定的に商品を供給するため、お客様に確実に商品を届けられる。
無在庫転売が広まってしまった理由

なぜ無在庫転売が広まってしまったのでしょうか?それは、資金的リスクがないことだけを強調する発信者がいるためです。
無在庫転売は、商品を販売する時点で仕入れの必要がなく、資金的リスクが少ない点が強調されがちです。しかし、先述のように品質管理や在庫管理ができないため、ビジネスとしては持続しづらく、お客様の信頼を失うリスクが高いのです。
何かのリスクを排除すると、誰かにシワ寄せが
セラー(販売者)側のリスクや負担を無闇に払拭すると、誰かに何かのシワ寄せがいってしまうことがあります。まさに無在庫転売がその典型で、セラーが自分たちの資金的リスクだけを最優先し、顧客満足度をないがしろにすると、お客様に不良品が届くリスクが上がり、商品を受け取るまでに何週間も待たされるだけで損しかありません。

- セラー側が複数のリスクを一気に排除しようとしてる:資金的リスクだけに近視眼的に着目するあまり、品質管理や在庫管理といった、本来死守しなければいけないポイントまで疎かに
- 顧客側はデメリットに見合う対価がない:不良品を受け取るリスクや、商品を受け取るタイミングが遅れるデメリットが派生するばかりで、それに見合う対価が顧客側にない場合も
上記のように、顧客ありきの商売にもかかわらず、セラー側だけの利便性ばかりに拘泥しているのはよろしくありません。例えば、その手法を活用することにより「お客様により安い価格で提供出来る」など、見合った対価が必要ですし、最低限、品質管理や在庫管理などは必須となります。
資金的リスクを排除しつつ、顧客に皺寄せが行かない方法は?

無在庫転売の問題を回避しつつ、ドロップシッピングのメリットを活かす方法として、信頼できる中国の業者と連携するという選択肢があります。
アリババ(1688)業者でも良いのですが、とにかく品質が良く、確実な在庫管理ができる業者で、かつ、アマゾン顧客から注文が入ったら、随時米国内のお客様の元に発送できる環境(輸送手段)の確保が必要です。
広州卸市場ツアーとの関係
私が生徒さん専用で開催している「広州卸市場ツアー」では、実際に現地の業者と直接信頼関係を築くことができます。これにより、以下のようなメリットがあります。
- 信頼できる業者から品質の高い商品を仕入れる
- 在庫状況をリアルタイムで確認できる
- 商品画像を事前にもらい、販売ページを作り込める
- 確実に在庫管理された商品をお客様へ届けられる
この方法であれば、お客様に負担をかけることなく、無在庫転売的な手法をドロップシッピング的な形で運用できます。

もちろん、次章で述べるFBA、すなわち「アマゾンの公式倉庫に事前に在庫を納品しておく方法」と比べれば、FBM(自社発送)は、お客様に商品が届くのに時間がかかります。ただし、その点を商品ページ上に明記した上で、それでもその商品が欲しいお客様がいらっしゃることが分かれば、それは「強いニーズがある」ことの証明にもなります。
FBAとFBMの活用

アマゾンのFBA(フルフィルメント by Amazon)を利用することで、お客様への配送速度を向上させることが可能です。ただし、最近ではFBA倉庫への納品後に受領処理が完了するまでに時間がかかるケースが増えており、現金化が遅れるリスクがあります。
お客様目線では、注文後すぐに商品を手に入れることができるFBAは、非の打ちどころのない素晴らしい手法ですが、昨今、「FBA受領→搬入→FBA倉庫移管→入出荷作業→販売開始」までに1か月前後かかるケースがあるため、セラーにとってはそのタイムラグが、収益化の遅延に多大な影響を及ぼすため、不満に思う方もいるでしょう。
そのため、まずはFBM(自社発送)で販売を開始し、よく売れる商品のみを後からFBAに移行するという戦略も有効です。このように、信頼できる業者と提携しながら柔軟に販売戦略を組み立てることが、持続的な物販ビジネスの成功に繋がります。
まとめ

無在庫転売とドロップシッピングは、在庫を持たないという点では共通していますが、本質的に異なります。無在庫転売は在庫管理や品質管理のリスクが高く、お客様の満足度を損なう可能性が高いためおすすめできません。一方、ドロップシッピングは信頼できるメーカーや商社と契約することで、安全に販売ができる方法です。
さらに、広州卸市場などで信頼関係を築いた業者と提携すれば、ドロップシッピング的な手法を、より簡易的に、あくまで安全なかたちで運用することも可能です。FBAやFBMをうまく活用しながら、長期的に安定したビジネスを構築していきましょう。
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