ネット物販(アマゾン物販)のように、パソコン1台&ネット環境さえあれば始められる「ノマドライフ」的な業界にも「テイカー(Taker)」と呼ばれる存在が潜んでいます。
ノマド=個人ビジネスというのは、一般的には大部分の作業を「自分以外」の方に任せるお陰で成り立つ商売。
販売システムはアマゾンに、商品の製造やOEMは中国・アリババ業者に、交渉・買付・発送は代行会社に、その商品の輸送は輸送代行会社に…という具合に頼っています。

だからこそ、取引相手にテイカーがいると、もしくは自分がテイカーに成り下がってしまうと、キャッシュフローに悪影響を及ぼします。
先方がそうであれば「骨折り損のくたびれ儲け」に、こちらがテイカーであれば信頼関係が崩れ、次第に村八分になるので、どちらにしろ商売は存続できないでしょう。
今回は「テイカー」について掘り下げていきます。非常に見逃せないテーマであり、精神衛生を保ちながら長く事業を継続するためには、
テイカーの特徴を理解し、場合によっては距離を置くことが不可欠なのです。
テイカーとは何者か?クレクレ君の正体

テイカー(Taker)とは、自分が何かを差し出すことは極端に嫌いで、他人からは意識的・無意識的にさまざまなリソースを奪っていく存在のことです。
『残酷すぎる成功法則』(原題:Barking Up the Wrong Tree)の著者エリック・バーカー氏は、アダム・グラントの著書『GIVE & TAKE』に触れながら、
「ギバー(与える人)」「テイカー(奪う人)」「マッチャー(バランスを取る人)」という3タイプの人について紹介しています。
以下はその中でテイカーの特徴に触れている一節の要約的な引用です(著作権の関係上、原文の長文引用は避け、要旨に即した形で引用します):
テイカーは、自分の利益のために人間関係を利用する。他人に何を与えるかよりも、何を得られるかに関心がある。そして彼らは、上司には媚びへつらい、部下や見返りのない相手には冷淡な態度をとる傾向がある。
この内容は、エリック・バーカー氏が『GIVE & TAKE』についての章で言及しているものです。
彼はテイカーの行動原理を、「他者を利用することで成功しようとするタイプ」として明確に位置づけており、そのような姿勢が長期的に成功するのかどうかについて、書籍全体で問いかけています。
テイカーは一見、無害に見えることもあります。しかし彼らの根底には「他人の時間・労力・情報・信頼」を自分の利益のために使おうという無意識の意図が存在します。
ビジネスにおけるテイカーの典型的な行動例

テイカーは以下のような行動パターンを持ちます。
・自分で作業するのは面倒臭がり、他人には無料でやらせようとする
・サービスを受けても対価(お金・感謝・情報)を払いたがらない
・無形のサービス(専門的な相談や情報)はタダだと考える
・相手の時間や労力、知識やノウハウを軽視する
・自分だけが得する、バランスが崩れた関係を築こうとする
彼らは資本主義社会の「等価交換の原則」を理解していない、あるいは理解していても無視する傾向にあります。

ちなみに「等価交換の原則」とは、価値あるものを得るためには、それと同等の価値を差し出さなければならないという考え方ですが、「同じ行動量ならOK=同じだけ何かをすればいい」というわけではありません。
無形のサービスなどは、定量的に(数値化して)比較できない場合もあるからです。
極端な例を出せば、恋愛における「等価」のように、行動の大小よりも「思いやりのバランス」が取れているかどうか?に帰結するのではないかと思いますし、
それが自ずと、先方への敬意や礼節、感謝の言葉に繋がるのかと存じます。

最大の特徴は「無自覚」

テイカ―のもっとも厄介なポイントとは「無自覚」ということです。
多くのテイカーは、自分が相手から一方的に取ってばかりであることに気づいていません。むしろ、「自分は十分に相手に与えている」とすら思い込んでいるケースもあります。例えば…
・お金払っているから「無制限」に質問していいと思っている
・契約範囲を逸脱した依頼を当然のように持ちかける
・相手の努力や成果物に対して「ありがとう」もなくスルーする
こうした「無自覚に奪う態度=無自覚の搾取(収奪)」が、取引相手の精神をすり減らし、信頼関係そのものを根元から崩していきます。
新種の「SNSテイカー」とは?

現代では、SNSやチャットアプリを通じた“見えにくい搾取”も深刻な問題です。私はこれを「SNSテイカー」「侵奪的コミュニケーション」などと呼んでいます。
・一方的に長文メールを送りつけるが、相手の返信には極めて薄い反応
・丁寧なフィードバックや返信、礼節を持った言葉不足
・「お世話になっております」「ありがとうございます」などを省略しがち
・相手の提案や意見に傾聴せず、自分の主張ばかりを押し通す

これらも広義的には「搾取」の一種と言えます。相手の時間や労力、感情的なエネルギーを奪うことに、当人はまったく気付いていないことがほとんどです。無自覚の暴力、ですね。
テイカーと関わってしまったときの対処法

では、どうしてもテイカーと関わらざるを得ない場面(たとえば契約期間中や業務上の関係など)では、どう対応すればよいのでしょうか?
以下におすすめの対策を列記させていただきます。
【1】境界線を明確にする

テイカーは相手の「曖昧な態度」「曖昧な言葉」に漬け込みます。
事前に契約内容(応対する範囲や時間)を明文化し、「それ以上は別料金になります」といったラインを明確化しておくことで、無自覚な要求を抑制できます。
例えば、フリーランスのデザイナーが「簡単な修正ならいつでも言ってくださいね」と曖昧に伝えた結果、クライアントから何度も深夜に修正依頼が届き、実質的に無償労働が増えてしまうことがあります。
これを防ぐには、「修正は2回まで無料で、3回目以降は追加料金が発生します」と契約書に明記し、対応時間も「平日10〜18時まで」などときっちり伝えておくことが有効です。
クーリングオフの通知など、法律的に定められている説明も忘れずに!
【2】法的な契約書や記録を残す

チャットやメールでのやりとりは必ずログを残しておきましょう。後から「言った・言わない」の水掛け論になったとき証拠になりますし、冷静に事実を俯瞰することでご自身の精神的な消耗も軽減できます。
なお、弊社担当弁護士によると、
ネット上に転がっている無料の契約書テンプレをそのまま使ったり、適当に修正して作成する人も多いですが、法的効力に乏しいのものが多いのが実情
とのこと。
契約書の文面は、素人が改変してしまうと意味を成さなくなったり、そもそも、ネット上にあるテンプレ自体がすでに不完全・でたらめだったりすることも多々ございます。

例えば、「〇〇した場合には損害賠償!」と書いたとしても、具体的な金額などを明記していなければ効力が不十分です。
相手がテイカー気質の場合、曖昧な契約では簡単に穴を突かれ、要求をとにかく押し通そうとしてくるので、特に継続的な取引や高額案件では、弁護士に内容をチェックしてもらうことが現実的な最善手です。
ちなみに弊社の業務委託契約書類は、その後も同様の契約を何度も結ぶ類のものであれば、1通作成するのに5万円以上かけて作成していただくこともございます。
【3】情動的になり過ぎない

テイカーに共通するのは、「自分に非があることに気づかない」こと。それに腹を立ててしまっては、こちらが消耗してしまいますし、相手が無自覚であればあるほど、状況がさらに悪化します。
一定の距離感を保ち、業務的・事務的に対応するようにしましょう。

例えば、先述したフリーランスのデザイナーの場合、いつも仕事を押し付けてくる依頼者(テイカー)から、「ついでのこのデザインも作ってくれない?」と頼まれたとします。
その際、「最近は自分のタスクで手一杯なので、最初にご依頼頂いた作業以外の対応は出来かねます」と冷静に伝えるのが、情動的になり過ぎない対処方法です。
ここで「また私に押し付けるの!?」と怒ったり、「仕方ないな…」とイライラしながら引き受けたりせず、感情を抑えて理性的に対応することで、相手にも一線を示すことができます。
特に、断るのが下手な方ほど「じゃあ今回だけは特別に」と特別対応をしてしまいがちですが、1度例外を認めると、相手は「そこまでなら土足で踏み込んでいいんだ」とラーニングして(学んで)、その後も何かと「これもついでに」が続くでしょう。
最も重要なのは「距離を取る」

理想的には、そもそもテイカーと関わらないのが一番ですが、彼らの顔に「テイカー」と書かれているわけではない以上、現実的には対処療法的に「可能な限り距離を取る」「徐々に疎遠になる(フェードアウト」ことが要です。
人間関係の基本は「ギブアンドテイク」。どちらか一方に偏った関係はいずれ破綻します。
アマゾン物販のように外注化や他セラーとの横のつながりが大切なビジネスにおいて、信頼の置ける人との関係こそが成功の鍵です。
テイカーに非生産的な時間を奪われるより、誠実で有益な人間関係にリソースを集中させることが、長く安定したビジネスを構築する上で何よりも重要です。
信頼は積み重ねるもの

「自分は相手に何を与えているか?」
「相手を笑顔にするには?」
「相手に『この人の為なら』と思っていただくには?」
この視点を忘れずに持ち続けることが、テイカーにならない唯一の方法です。逆に、「この人は、いつも自分から奪い取ろうとするばかりだ」と感じる相手とは、無理に付き合う必要もメリットもありません。
ネット物販のような個人ビジネスだからこそ、是々非々の姿勢で関係を見極め、信頼できる人とだけ深く付き合っていきましょう。
中国仕入れ × アメリカアマゾン販売という選択肢

お客様から不当な利益を得ることも「テイカー」の一種になってしまいますが、弊社では、中国から商品を仕入れてアメリカアマゾンで販売する堅実なビジネスを体系的に学べる「21ステップ無料動画講座」を公開しています。
初心者の方も安心して学べる内容で、テイカー的な価値観とは一線を画した、三方良しの堅実なビジネスモデルをお伝えしています。

さらに、より深く学びたい方や実践的にサポートを受けたい方向けに、マンツーマンの個別コンサルティングも行っています。
・販売用アカウント開設や商標登録
・アメリカアマゾンでのリサーチ&買付
・外注化や作業効率化の構築
・取引先や外注先と信頼関係の築き方
・弊社顧問税理士、行政書士、社労士、弁護士、弁理士の紹介
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