トランプ大統領が発表「中国・デミニミスルール適用終了」米国アマゾン物販への影響は?関税の計算方法(CIF価格)とアンダーバリューについて

デミニミス

トランプ米大統領がデミニミスルールの適用を終了へ

2025年4月2日、ドナルド・トランプ米大統領は、中国からの少額輸入品に対する非課税制度(いわゆる「デミニミスルール」)の適用を停止する大統領令を発表しました。


トランプ米大統領、中国に対するデミニミスルールの適用を終了する大統領令を発表(JETRO)

輸入税額の計算方法:日本 | 貿易・投資相談Q&A - 国・地域別に見る

これにより、5月2日午前0時1分(米国東部時間)以降に米国に到着した中国または香港で生産された(原産国)800ドル以下の輸入品にも、原則として関税が課されることになります。

この動きは、フェンタニルの流入阻止などを目的とした「国際緊急経済権限法(IEEPA)」に基づく関税強化の一環とされ、すでに中国製品には20%の追加関税が適用されていますが、これまでは800ドル以下の小額輸入については免税措置が継続されていました。

デミニミスルールとは?

「デミニミス(de minimis)」とは、金額が小さい取引に対しては関税や税務の煩雑な手続きを免除する制度で、アメリカではこの基準額を「800ドル以下」と定めています。

ECコマースを通じて中国からアメリカへ個人輸入するユーザーにとって、非常に大きなメリットとなっていましたが、これが打ち切られることで、実質的な輸入コストが上昇することになります。

今後、特にCIF価格(後述)で800ドル以下の製品を中国から送る事業者は、価格戦略の見直しや税務対策が急務となるでしょう。


アンダーバリューとは?関税逃れのリスクと落とし穴

こうした輸入コストの上昇を受け、一部の業者が行おうとする可能性があるのが「アンダーバリュー(Under Value)」という不正行為です。

アンダーバリューの意味と仕組み

アンダーバリューとは、インボイス(納品書・請求書)に記載する価格を、実際の取引価格よりも意図的に低く見せる行為です。関税や消費税などは、申告価格をもとに計算されるため、価格を低く見せることで税負担を軽減しようとする意図があります。

たとえば、実際には商品Aを5ドルで購入しているにもかかわらず、インボイス上は3ドルで申告すれば、その差額である2ドル分の関税を免れることができます。

アンダーバリューのリスク

一見「節税」に見えるこの手法ですが、これは明確な脱税行為であり、国際的にも不正取引とされており、日本や米国を含め、各国の税関はこれを非常に厳しく取り締まっています。

  • 税関に見つかれば**追徴課税(加算税)**や罰金の対象になる
  • 税関のブラックリストや監視対象業者に指定される可能性がある
  • 輸出者側も、インボイス偽装に加担すると国際取引停止や罰則のリスク

実際に取引相手から「安い価格で書いてくれ」と依頼されるケースもあるかもしれませんが、どの国でも通用しない違法行為であり、毅然と断るべきです。

気付いたら修正を!

輸入者が意図せずアンダーバリューのインボイスを提出してしまった場合でも、「知らなかった」では済まされません。


気づいた時点ですぐに修正申告を行うことが重要です。


関税は「CIF価格」を基準に計算

CIF価格とは?

さて、アンダーバリューのリスクと密接に関係するのが「CIF価格」です。

CIFとは「Cost, Insurance and Freight」の略で、輸入商品の取引価格に加えて、保険料と運賃(国際送料)を合計した価格を意味します。これが、関税や消費税を計算する際の基本となる「課税標準価格」となります。

つまり、単純に「商品が安いから関税が安い」というわけではなく、輸送コストや保険料も含めた「実質コスト」で課税額が決まるということです。

関税と消費税の計算例

輸入税額の計算方法:日本(JETRO)

輸入税額の計算方法:日本 | 貿易・投資相談Q&A - 国・地域別に見る

例えば、日本で輸入した場合の関税計算は次のようになります:

  1. 関税の計算
     CIF価格 × 関税率(例えば5%)
  2. 消費税の計算
     (CIF価格 + 関税)× 消費税率(10%)

また、CIF価格の中に「無償提供された部材の価値」などが含まれる場合は、それも加算要素として税額に影響を与えます。

さらに、外貨建て取引の場合、円への換算には「税関公示レート(申告日ではなく前々週の平均レート)」が使われます。為替の動きにも注意が必要です。


中国輸入 × アメリカ販売者への影響

今回のデミニミスルール適用停止は、中国からアメリカへ安価な商品を発送しているセラーにとって大きな打撃となります。たとえば、中国で仕入れた商品をアメリカアマゾンでFBA発送している場合、これまで関税がかからなかった商品にも課税されるようになるからです。

その結果、

  • 商品価格の見直し
  • 利益率の再計算
  • 正しいインボイスでの申告
  • 税関手続きの強化

など、事業者にとって対応すべき課題が山積しています。

中国輸入 × アメリカ販売者への影響

今回のデミニミスルール適用停止は、中国からアメリカへ800ドル以下の小額商品を個別発送しているセラーにとっては大きな影響があります。

たとえば、Aliexpressや中国系の倉庫から1個ずつ発送していたセラー、あるいはドロップシッピング形式で中国から直接エンドユーザーへ届けていたビジネスモデルでは、今後関税が避けられなくなり、利益率に大きく響く可能性があります。

800ドル以上の商品を扱っている場合は?

一方で、FBA納品などで一度に800ドルを超える金額で商品を送っている輸出者にとっては、今回のルール変更の直接的影響は小さいとも言えます。


なぜなら、800ドルを超える場合は、元々デミニミスルールが適用されておらず、従来通り関税やその他の通関手続きが必要だったためです。

そのため、

  • FBA納品向けにまとめて1,000ドルや2,000ドル分を発送していた事業者
  • DHLやFedEx、OCSなどで高額商品を定期的に納品していたセラー

などは、今回の「800ドル以下ルールの停止」によるダメージは相対的に少ないと言えるでしょう。

それでも油断は禁物:トランプ関税の追加影響

ただし、注意したいのはトランプ大統領による「関税の追加20%」という新たな負担です。

現状でも、多くの中国製品にはすでに通常関税(商品により5~20%前後)が課されていますが、今回の措置では「IEEPA(国際緊急経済権限法)に基づき追加関税20%が発動」される可能性が報じられており、これが実行されれば、800ドルを超える通常輸送にも直接的なコスト上昇が及ぶ可能性があります。

例えば…

  • すでに10%の関税がかかっている商品 → それに加えてさらに20%が加算 → 合計30%の関税
  • 800ドルの商品なら、関税だけで240ドル相当、輸送費・FBA手数料を含めれば利益圧迫は必至

さらに、今回の方針は「中国・香港製品を名指しで規制」する形となっているため、仮に800ドル以上の商品であっても、追加の監視強化や税関での通関遅延が発生するリスクも否定できません。


結論:デミニミス終了の影響を受けない人も、追加関税には要警戒

  • 800ドル未満の小額直送ビジネス(ドロップシッピング等) → 関税負担が新たに発生=大打撃
  • 800ドル以上をまとめて発送しているFBAセラー等 → デミニミス終了の影響は軽微
  • しかし、トランプ関税による追加20%が発動すれば全体に広く影響が及ぶため、価格戦略や仕入れコスト再計算が必須

まとめ:時代に合わせた貿易スキルを身につけよう

  • トランプ大統領の政策により、中国・香港製の800ドル以下の小額輸入品にも関税が課税
  • 関税逃れのためのアンダーバリュー行為は厳禁。違法行為として重い罰則も
  • 関税の計算にはCIF価格が基準。取引価格だけでなく運賃・保険料も含めて計算される

輸入・輸出ビジネスを行うすべての事業者にとって、こうした制度変更やリスクへの理解は不可欠です。

目先の利益にとらわれず、正しい知識と手続きをもって、長期的な信頼と安定を築くことが、これからのグローバルECの鍵となるでしょう。



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