トランプ関税はどうなるのか?最新の米中関税緩和とアマゾン市場の実情から読み解く「中国vs米国プロレス」の本質

アマゾン物販

特にトランプ前政権下で導入された関税政策は、米中間の貿易摩擦を生み、アマゾン物販セラーを含む越境EC事業者にとって無視できないトピックとなっていました。

本記事では、以前の記事「トランプ関税とデミニミス撤廃により、中国→アメリカ輸送が大きく変わる?」の続編として、2025年5月に報じられた「米中が互いの追加関税を最大115%引き下げる」という最新の動きを紹介しつつ、アマゾン市場の本質的な構造、そして今後を考察していきます。

トランプ関税とデミニミス撤廃により、中国→アメリカ輸送が大きく変わる?DHLの重要通知と今後の対応策
〜800ドル超のB2C貨物が一時停止、IEEPA・デミニミス撤廃・3社比較で考える〜 2025年4月17日、DHLからアメリカ向け貨物の発送に関する非常に重要な通知が発表されました。この通知は、アメリカ向けの申告価格が800米ドルを超えるB...

米中が関税を大幅引き下げへ—最大115%の緩和で貿易戦争に終止符?

2025年5月14日、NHKは以下のように報じました。

米中 互いの追加関税を115%引き下げ(NHK NEWS)

米中 互いの追加関税を115%引き下げ | NHK
【NHK】アメリカと中国は、スイスで行われた貿易協議での合意を受けて、日本時間の14日午後1時すぎ、これまで互いに課していた追加関…

「アメリカと中国は、互いに課していた追加関税の一部を最大115%引き下げることで合意しました。アメリカのトランプ政権による中国への追加関税は145%から30%に、中国によるアメリカへの一律の追加関税は125%から10%になりました。」

これはまさに、数年に及ぶ「米中プロレス」に一区切りがついたことを示す象徴的な出来事とも言えます。プロレスで戦っていたレスラー同士が、制限時間いっぱいになって握手=引き分けになったようなものです。


そもそも「トランプ関税」とは?

2018年から2020年にかけて、トランプ政権は中国からの輸入品に最大25%の追加関税を課しました。その影響はアマゾンをはじめとした越境ECプレイヤーを動揺させ、多くのセラーが「価格改定や物流ルートの見直ししないと…」と、戦々恐々としたことでしょう。

また、近年話題となった「デミニミス(関税免税枠)の撤廃議論も、中国→米国の小口輸送に打撃を与えるものでした。

それまで免税されていた$800以下の小口貨物にも関税が発生するとなれば、特にTEMUやSHEINのようなBtoCビジネスへの影響は必至です。

これらの要因を背景に、私はYouTubeライブ配信でも「焦らず、数か月は静観しましょう」という旨の見解を述べてきました。

「米中の関係は一種のプロレス、もっと言えば『チキンレース』のようなもの。本気で潰し合うつもりも、潰せるわけもなく、お互いに『必要不可欠な相手』であるというのが本音」

【ライブ】アマゾン物販の行方は?≪後編≫ トランプ関税とデミニミス撤廃により、中国→アメリカ輸送が大きく変わる?統計と数値で見る「大丈夫」な理由

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前編:【ライブ】アマゾン物販の行方は?≪前編≫ トランプ関税とデミニミス撤廃により、中国→アメリカ輸送が大きく変わる?DHLの重要通知と今後の対応策関連記事:トランプ関税とデミニミス撤廃により、中国→アメリカ輸送が大きく変わる?DHLの重要...

米国アマゾン(Amazon.com)も中国抜きでは成り立たない

それを裏付けるような報道が、2024年2月13日にありました。アマゾンがSECに提出した年次報告書(Form 10-K)の中で、初めて公式に「中国セラーへの依存」を明言したのです。


ちなみに「SEC」とは「Securities and Exchange Commission」、投資家保護と公正な市場整備のため、1934年に設立された米国の市場監視機関(連邦政府機関)を指します。

Amazon’s “Significant” Reliance on Chinese Sellers

Amazon's "Significant" Reliance on Chinese Sellers
Amazon acknowledged the Chinese seller market share on its marketplace for the first time, calling it "significant."

“China-based sellers account for significant portions of our third-party seller services and advertising revenues.”

中国を拠点とする販売業者は、当社のサードパーティ(アマゾン直販ではなく一般の)販売業者向けサービスと広告収入の大部分を占めています

Marketplace Pulseによると、米国アマゾンのトップ10,000セラーのうち、約50%が中国拠点のセラーであることがわかっています。

これらのセラーがアマゾンのGMV(流通総額)に占める割合は推定で半分近く。つまり、今のアマゾン市場は中国商品なしでは成り立たないということを如実に表しています。

しかもアマゾン自身が「中国は単なる製造拠点ではなく、小売・広告の中心的なプレイヤー(販売者・利用者)になりつつある」と表現しており、その影響力は今後ますます大きくなると予想されます。


なぜ中米は「ガチで喧嘩」しないのか?

ここまでの動きを見ると、関税をめぐる対立は本質的に、一時的な「ポジショントーク」のようなもの、すなわち「主張やポリシーに一貫性があったわけではなく、それぞれの立場から自分に都合のよいこと、自分に有利になるようなことを言ってただけ」だったとも言えます。

  • アメリカ目線:中国からの低価格商品はインフレ対策に不可欠。アマゾン、ウォルマートなどの小売企業も中国商品に依存。
  • 中国目線:アメリカは最大の輸出市場。特にアマゾン経由の個人向け販売は今や重要な収益源。

お互いに「潰せない相手」であり、だからこそ表面上は強硬な姿勢を取りつつも、最終的には「元の鞘」におさまる流れにならざるを得ないのです。


アマゾン物販セラーは冷静に「本質」を俯瞰せよ

今回の関税緩和それ自体は、アマゾン物販などの越境EC事業を行う私たちにとって追い風ではあります。しかし、それ以上に大切なのは「普遍的な構造の理解」に他なりません。

私はこれまでの動画記事でも繰り返し申し上げてきましたが、「中国セラー&中国商品なしにアマゾン物販は成立しない」という点を、数字と現実が裏付けています。

【ライブ】アマゾン物販の行方は?≪後編≫ トランプ関税とデミニミス撤廃により、中国→アメリカ輸送が大きく変わる?統計と数値で見る「大丈夫」な理由

だからこそ、一時的なニュースや政策に一喜一憂せず、「アメリカ市場の需要」と「中国の供給力」の間でどのような恒久的なポジションを取るかが成功のカギとなるわけです。


まとめ:アマゾン物販の未来は依然として明るい

トランプ関税、デミニミス撤廃、米中摩擦……さまざまな不安材料が騒がれてきましたが、結論として言えるのは以下の通りです。

  • 米中は本気で対立しない。互いが必要な経済パートナー。
  • アマゾン市場はすでに中国セラー&中国商品に深く依存している。
  • 最新の関税緩和は越境ECプレイヤーにとってプラス。
  • 今後も「FBA出品」モデルが成長していく。

海の波のように経済は常に流動性を帯びているものの、「精神衛生を保ったまま息の長いアマゾンセラー」になるためには、目先のニュースに振り回されず、大局を見据えた判断、俯瞰的な視点が必要です。


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